俺 流  [ Perro Dogs Home 預かり日記 ]

コペ転


臨海学校前の小学生のように、大型犬2頭を迎える興奮と不安と期待の数日をすごした。それは、期待より不安により多く傾斜したものだったが。
数日後、センターからPerroの責任者に電話があった。
グレート・ピレニーズはほかの団体に譲渡されることになりました、と――。

私のブームは、突如として、有無をいわせぬかたちで、終わった。
ピレニーズは消え、手元に残ったのは、あの暑苦しいラブだけとなった。

呆然と落胆した。


▲私の腹の上に乗るラブ――おっとヨダレが

しかしまた数日がたつと、これはこれでよかったのではないかという気がしてきた。
どこかホッとした自分がいた。
ピレニーズが行った団体は大型犬の経験を私たちよりずっと積んでいるし、私が「知的で繊細」と見たピレニーズのあの眼は、じつは気むずかしさと狷介を見誤っただけかもしれない。
そもそも私たちには荷が重かったのだろう。
それになんといったって、あのラブがいるじゃないか。
ラブという犬種の根の善良は通販ジュエリーのように100%鑑定保証書つきだし、現にいいヤツだった。
でもなぁ……。
悪相で吠えかかっている姿が頭に浮かんだ瞬間、ふたたび落胆に舞い戻ることも正直あった。
2009年07月10日(金) No.16

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