俺 流  [ Perro Dogs Home 預かり日記 ]

笑顔の別れ


2回にわたって、ラブの預かりと直接関係のないことをだらだらと書いて、いったいなんのつもりだとお思いの向きも多いに違いない。
そのとおりです。

で、結局ナニが書きたかったのかといえば、団体でセンターからの引きだしを担当する人間は、とてもたいせつな存在で、ある適性が求められること(この場合の適性は持って生まれたものというより、自らをその形に削りあげるものだと思う)、たいへんなプレッシャーがその肩にかかること。
そして私にはどうやら、この任は適していないようだということである。
それはグレート・ピレニーズとラブの引きだしをめぐるアレコレをお読みいただければわかると思う。

私がセンターに同行するのは、単なるオブザーバー(観察者)、あるいは雑用係としてであることが多い。
大型犬を除けば、引きだし時の選択判断にほとんど私がタッチしていないのは、団体と私自身の両方にとって幸運だったと思う。

このラブは私が判断した珍しい例であり、以前、私自身が引きだすことを決めた大型のMIXとの、涙がちょちょぎれるような共同生活の記憶が蘇ってきた。



センターにラブを迎えにいった日、職員さんは言った。
「この子とのお別れは、みんな名残惜しがると思いますよ」
へぇーっ、センターでかわいがられていたらしい。
「コテツ」(=小鉄?)という愛称までいただいていたのだという。
この子の面倒を見ていた担当さんなのだろうか、青い作業着を着た女性職員さんも見送りに出てきた。
車に乗せるため、クレートに入れようとすると、ラブは力いっぱい抵抗した。

私たちと「コテツ」の乗った車を見送る職員さん2人の表情は笑顔でいっぱいだった。
新しい人生へのはなむけの笑顔なのか、コイツと別れられてよほど嬉しいのか、私には後者の比率が高いように見えたが、たぶん思い過ごしだろう。
名前は「テツ」に決めた。
2009年07月15日(水) No.19