俺 流  [ Perro Dogs Home 預かり日記 ]

お前は天才柴か!





繰り返し申しあげておくが、現在のカンペイは排泄にかんしてほぼ完璧である。
これから書くのは、わが家にきて3週間ほどのあいだにおこったことだ。

やってきたカンペイは、少し落ち着くと、当然のように室内でシッコをした。
事前に家のなかに何か所か、犬が好みそうな場所を選んでシートを敷いておいた。
驚いたことに、カンペイはシートを認識する。
あやうくこの未開の風貌にだまされてしまうところだった。カンペイは文明人だったのだ。
柴は潔癖だから、外での排泄をしつけるのは容易である。反面、柴の生活領域である室内で排泄をしつけるのは、他の犬種より骨が折れることが多い。
当たり前のようにシートを認識するカンペイを見て、私は「お前は柴の天才か」と感動しそうになった。
ただほんの少し惜しかったのは、床にあったタオル、バスマット、洗濯物、クッションなどとトイレシートをカンペイは区別しないのである。
ある日のmixiつぶやきに、私はこう書いている。

<黒柴、家内の洗濯物の上に排尿。家内が「なーにやってんのよ〜」と騒ぐから、「そこに置いとくのも悪い」と言ったら、洗い立てのオレのシャツにもジャーであった>

家内はカンペイに向かって声をあげたわけではない。
とっくにカンペイは現場を離脱していた。
本当のところは「あんたのせいだ」と、すぐ目の前の私にいっているのである。



こうした場合、騒がず叱らずが犬と暮らす基本中の基本。
カンペイはシートでしているつもりなのだから、むしろ「エライ」とホメてあげなければならない。
もちろん私は、自分の洋服にシッコをかけられてホメてさしあげるほどの広い度量はなかった。

タオル、バスマット、洗濯物、クッションなどへの排尿は、朗報と受けとめるべきだし、シート周辺へ正しくシッコを投下することもできたから、全体としてカンペイの先行きは明るいと私は思った。

先を予見できる能力が人間に備わっていなくて本当に幸せだった。
2012年07月09日(月) No.137