俺 流  [ Perro Dogs Home 預かり日記 ]

崩壊への道




たいせつなことを書き忘れていた。
カンペイは4月28日の午後にわが家にやってきた。
そのたった4日後にサクが出現したのだった。

サクが登場するまで、カンペイは大を2日に1回のペースでしか排泄しなかった。
繊細な犬のなかに、環境が変わると大が止まる子がたまにいる。
以前、センターからわが家にやってきたゴールデンの女の子は3日も4日もウンコしなかった。
うちの長男も中学生当時、3泊程度の修学旅行中じつに1度も排泄せずに帰宅した。
家に帰り着くやいなや、たちまち排出が再開される仕掛けになっている。
息子がその後あっさりといつものペースに戻ったように、どんなに神経質な犬でも、いったん緊張が解けて新しい環境に慣れれば、あとは自分なりの排便リズムを取り戻すのである。



おまいら、たいがいにしろよな

本当なら、カンペイは1週間程度の時間をかけてゆるゆると、現在見られるような安定的な排泄習慣に移行するはずだったろう。
私は楽観的にそう見ていたし、たぶんそうなったはずだ。
(多くの犬は飼育環境が変わっても、すんなりと適応していっているように見える。だが、実際には彼ら彼女らのほとんどは緊張、おそれ、ストレスを感じながら、新しい環境に自らを適応させようと懸命なのである。私たちはそれをときどき忘れることがある)
カンペイはもともと不器用で環境の変化への適応が超下手クソな男である。
そこに突貫小娘サクが出現した――。

楽しそうにサクと遊んでいるように見えたカンペイのなかで、ギリギリ持ちこたえてきた何かが飽和し決壊したのだろう。
「オレの暮らし、毎日がビッグサンダーマウンテンみたい。これからどうなっちゃうのか不安でいっぱい。もうダメダメ。ウンコチッコいっぱいいっぱい」とかラップふうに。
まずカンペイの小の排出コントローラーが、つづいて大のコントローラーが混乱におちいった。
具体的には、わが家の床に小(液体)や大(水分の多い固体)が無作為に落ちているといった事態である。

次にやってきたのは悪夢のような下痢だった……。


オレだって、ムリが体にきちゃうことあんのよ
2012年07月21日(土) No.141