お泊りWANKO  [ Perro Dogs Home 預かり日記 ]

ワンコとうりちゃん


今日はわたしがここの家のワンコと初めて会った時のお話をするわね。


大きいのがお姉ちゃん、小さいのがお兄ちゃんよ。
お兄ちゃんは小さいって言ってもわたしより2回りくらい大きいの。

初対面の時、わたしは喉をヒャァヒャァ鳴らして大興奮状態。
手足をジタバタさせて跳びかかる気満々だったんだけど
リード付きでおばちゃんにがっつり監視されてたの。
おばちゃんはのんきに「まずはニホヒ交換から」なんて言ってたけど・・・


お兄ちゃんはわたしが気に食わなかったみたいでウーウー唸っていたわ。
だからわたし、おばちゃんの制止を振り切って跳びかかってやったの。
お兄ちゃんもすぐに立ち上がってがっつり組み合った・・・のはほんの一瞬。
おばちゃんが「ごらー!」って叫びながら首根っこを掴んで引き倒したの。
わたしだけ。
おばちゃんに押さえつけられて、お兄ちゃんにクンクンされるのはひどい屈辱だったわ。

お兄ちゃんとはそれから何度もぶつかり合ったけど、そのたびにわたしだけが叱られたわ。
理不尽でしょう。

でもね、その内わかったの。
お兄ちゃんは口先ばっかりで、本気でわたしをやっつけようとは思っていないってことが。
お兄ちゃんは男だから「無礼は許さないぜ」っていう態度をとらないといけないのね。
わたしはお兄ちゃんなんて怖くもないけど、お兄ちゃんが怒ったら
少しだけ体を低くして「すみませーん」って態度をとることにしたわ。
だって、おばちゃんがすごい顔して睨んでるんだもん。

今はお兄ちゃんとは当たり障りなく、適度な距離を置いてつきあってるの。
たまにピョンピョンしてるお兄ちゃんが面白くてちょっかいかけちゃうけどね。
お兄ちゃんを怒らせたら、わたしはおばちゃんの顔をちらっと伺って「すみませーん」ってなもんよ。
ここだけの話、真剣勝負ならわたしの方が強いと思うわ。絶対に。


小者のお兄ちゃんよりも、大変だったのはお姉ちゃんの方ね。


お姉ちゃんは平和主義で戦う気ゼロなんだけど
真っ黒くて大きくて、ヌボーッと立ってるだけですごい威圧感があるのよ。
正直に言うと、わたしはお姉ちゃんが怖くて仕方がなかったの。
怖いならしっぽを巻いて隠れていればいいって思うでしょ。
でも、わたしはそれはできないの。
怖い時に、わたしは戦うのよ!

だからお姉ちゃんにも何度も挑んだわ。
「わたしの後ろに立つな!」
「わたしの横から突然出てくるな!」
「わたしのケージの前を歩くな!」
「わたしに近づくな!」って
ちょっと人にはお見せできないようなワイルドな顔で跳びかかっていったものよ。
おばちゃんは「うーちゃん、般若みたいな顔になってるよ」って言ってたわ。

お姉ちゃんは困ったような顔をしてぷいっと行ってしまうだけだったけど
おばちゃんがこれまたすんごい怒ってね。
それこそ般若みたいな顔して「ごら〜!やめろ!」ってわたしを引き倒すわけ。

2日くらいそんな感じだったかな。
それからわたしはぐーっと堪えることを覚えたのよ。
恐怖に打ち勝ったのよ。
わたし、頑張ったわ。

でも頑張った甲斐があったの。
お姉ちゃんは優しくてあったかくて・・・


今じゃ、わたしはお姉ちゃんにくっついて回ってるのよ。
おかしなものね〜。



****預かりおばちゃんより****

我が家に来た時のうりちゃんは、うりちゃん史上で一番最悪の時だったでしょう。
知らない場所で一人彷徨い、訳がわからないまま犬だらけのセンターに10日ほど収容され
見知らぬおばちゃんに連れられて、知らないお家で大きな犬と唸る犬に迎えられる。
神経が尖って、落ち着けないのは当たり前です。

そういう時にそつなくこなせる犬、内向的になる犬、穏便に済まそうとする犬
パニックになって暴れる犬、いろいろなタイプがいるでしょうが
うりちゃんは暴れて、犬には攻撃的になるタイプのようです。

精一杯の虚勢を張る小さなうりちゃんを叱ることはかわいそうに思いましたが
やみくもに挑むばかりでは、犬と仲良くすることはもちろん、
たくさんの人にかわいがってもらうことも難しいので、徹底的に叱りました。
しかし人に対して反抗的・攻撃的な態度をとることはこれまで一度もなく
一見パニック状態のように見えても、人に歯を向けるようなことも一度もありませんでした。
それはうりちゃんのとても良い長所だと思います。
どのような時にも人との信頼関係が築けていれば、大きな問題にはならずに済むはずです。

新しいお家に行ったとき、うりちゃんがわが家に来た時と同じ態度をとるかどうかはわかりません。
しかし、興奮して走り回るばかりの犬ではないということと、
人が誘導してあげられれば、敵意のない犬とはうまくやっていけるということは確かです。

うりちゃんはとってもいい子です♪



2013年01月16日(水) No.290