お泊りWANKO  [ Perro Dogs Home 預かり日記 ]

よく頑張る善吉くん


僕は多分、これまでお家の中で暮らしたことはないんだ。
だから家の中のものが何でも珍しくってね。
珍しいものは見たいでしょ?
見たいものは見るでしょ?

だから僕は・・・



どこにでも手をかけて、覗いて、嗅いで、必要があれば触って確かめたよ。
僕の「触る」は、つまり噛むってことで、ガジガジガブガブよく噛んで硬さや味を確かめるんだ。

僕は好奇心旺盛な少年だから、何にでも手をかけて、顔を突っ込んで確認作業を頑張ったんだよ。
そうしたら、またおばちゃんが僕に怒ったんだ。

テーブル、キッチン、ドアなどなど、家の中のあらゆるものに手をかけるたびに
おばちゃんは僕の手を払いのけて怒鳴るんだ。

僕は3日くらい叱られ続けて、何を叱られているのか、やっと気づいたよ。
だからもう、キッチンとかに手をかけて覗くことはしないよ。
おばちゃんが見てない時にはこっそり覗いちゃうこともあるけどね。


それから、家の中の暮らしで一番辛かったのは人間のお食事時間だよ。
テーブルの上には美味しそうな食べ物があって、人間たちはバクバク食べている。
なのに僕は食べられない。
そんな理不尽なことってある?

僕はみんなと一緒に美味しいものをバクバク食べたかったんだ。
だからおばちゃんとテーブルの間に頭を突っ込んで、膝に手をかけて割り込んで
何が何でもテーブルの上の食べ物をゲットしようと頑張ったんだ。
これは僕、ものすごーく頑張ったんだ。

でもこれもまた怒られたんだよ。
「人間のご飯は人間だけのもの。ワンコにはワンコのご飯があるでしょ」だって。
おばちゃんの言い分はわかった。
でも、僕は食べたくて食べたくて、辛いんだ。
だから時々・・・



テーブルの端っこをガジガジして、辛い気持ちを発散させてるんだよ。



****預かりおばちゃんより****

室内生活を知らない犬がとる行動を、善吉くんは余すところなく見せてくれました。
小型犬にはもっとソフトな注意の仕方でもいいのかもしれませんが
大型犬で、まだ子どもの善吉くんには、やってはいけないことをはっきり理解してもらうために
「イケナイ」と低い声で怒鳴りながら、足(手?)払いをするというかなり厳しい方法で注意しました。
テーブルなどに手をかけてはいけないということは、2,3日でしっかり覚えました。
今は高い位置にある見たいものに対しては、首をグングン伸ばして覗いています。
家庭犬として当たり前のことですが、おばちゃんは「偉いなぁ、大したものだなぁ」と感心しています。

とびつきや甘噛み、盗み食いなどに比べると
テーブルを齧ることについては、ずいぶん甘い叱り方しかしていません。
手で鼻先を押して「やめてくんないかな?」という程度です。
命に係わることではないし、どうしても齧ってもらいたくないもの(危ないものや貴重なもの)は隠せばいいし、
他にも教えなくてはいけないこと、叱らなくてはいけないことがたくさんあるので
「なんかもう、テーブルくらいいいかな。。。」という心境です。

善吉くんと暮らしていると、いろいろなことがドンドン大雑把になっていくような気がします。
大らかな生活、素晴らしき毎日です。。。

2014年08月17日(日) No.403

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