俺 流  [ Perro Dogs Home 預かり日記 ]

Kampei meets――2



Kampei meets a samoyed!

大柄なサモちゃんと公園で出会ったカンペイ。互いに友好的だが、カンペイはさすがに腰が引けている。




Kampei meets oresama!

早朝の低い太陽がオレとカンペイの長〜い影をつくる。
このクソ暑かった夏、カンペイとの散歩は毎朝5時台から6時台前半。
カンペイは習慣の生きものだから、散歩のスケジュールを変えるのは好ましくない。どんだけ大雨が降ろうと(私は雨の散歩は好きだが)、どんだけ酒を過ごそうと、どんだけ遅く寝ようと(たとえ午前4時半就寝でも)、早朝の散歩にはどんだけでも出なければならない。
毎朝毎夕の散歩は決して欠かしてはならない。
ついには私自身が習慣の生きものになって、規則正しい生活という長年の夢がかなったのである。ハレルヤ!!




Kampei meets Sampei!

わが家に三平が寄宿していたときのこと。三平の遊びのドアが1日1度、数分間だけ予告なしに開かれる。
「さあ、オレと遊んでよろしい」と。
その数分間は無礼講となり、カンペイは三平を追いかけ、取っ組みあいを仕掛けても許される。三平もハイになってそれにこたえる。
しかしそのドアは、数分間だけ開くと、また唐突に閉ざされた。
それ以外の1日の23時間と50数分間、三平と対等に遊ぶ許可はカンペイにはおりない。




Kampei meets a beetle!

地球上でもっとも繁栄する種・甲虫に挑むカンペイ。
「神様のご寵愛は(人ではなく)甲虫に偏っておるのだぞ」と神学者を挑発したのは生物学者のホールデンだったが、カンペイも甲虫を偏愛する。
偏愛しすぎて最後は殺生にいたることが多い。
自分より弱いことが確実に保証されている相手を選んで挑戦するのがカンペイの流儀だ。
2012年09月24日(月) No.151

カンペイの出会い



Kampei meets cicadae!

最愛のセミを探し求めるカンペイ。最近では、こうやって樹の幹に手をかけてまで出会いを求めるようになった。夏休みの昆虫採集ではなく、8日目のセミの踊り食いが狙いだ。




Kampei meets a obachan!

カンペイは人が大好きだ。通りかかる見知らぬ人でも、声をかけられれば相手を選ばず尻尾を振って大喜びで近づいていく。




Kampei meets a pigeon!

鳩にロックオン。カンペイは自分より弱い希少な二大生物である昆虫と鳥が大好きである。




Kampei meets a sheltie!

ピカ〜ン。ひと目会ったその日から恋の芽生えるときもある……というのはウソで、単に逆光でレンズがハレーション起こしているだけ。
公園でときどき出会う温和なシェルティちゃんと。
2012年09月22日(土) No.150

柴は気が小さいんですだよ



子犬と出会う。不屈の「遊ぼ」コールにカンペイ少しメゲかかる

「柴は気が小さいんだよ」
近所の公園を通りがかると、愛犬の柴について話す老人の声が聞こえた。
愛情が悪口になって、こうしてこぼれ落ちているのである。

そう、柴は小心である。

晩夏のある日、大ぶりのサンマを買ってきた。
これをセオリーどおり遠火の強火で網焼きした。
私はサンマが大好物なのだが、そういえば近年、あまりサンマを食べなくなっていた。
その理由を、この夜の惨事でハッキリと思いだすことになるのだが、スーパーの魚売場ではサンマの活きのよさに心を奪われて、さっぱり思いいたらなかった。

わが家の換気扇には外付けのフィルターを上からはめ込んである。このフィルターにべとべとの油汚れが滲みこんで、いまやフィルターなのか油性の膜かわからない状態になっていた。
ほとんどまったく汚れた空気を外に吐きださない。
ガス台から盛大に立ちのぼった煙が、換気扇のある上方に向かわず、横にたなびいていくのを見て、こりゃダメだと思ったが、事態は私の想像をはるかに上回って悪化した。
慌てて窓を全開にしたが時すでに遅く、家中にサンマ臭い煙がもうもうと充満した。
家内とふたり、途中であきらめて、煙の中でサンマを食べた。美味だった。
ふと室内を見ると、それまで家族の慌てふためきぶりを前にオロオロしていたカンペイが、いつの間にか姿を消している。

カンペイは隣の部屋(ここにも煙が盛大に侵入していた)に逃れ、雑多なものの間にできたごく小さな空間に身を押しこむようにして隠れていたのだった。
これまでカンペイがここにいるのを見たことはなく、だいたいこんな小さなスペースに犬が入り込めると考えたこともなかった。
よほど煙が怖かったに違いない。


タコ壺に身を隠すカンペイ。目が弱ってる

昨日は、めったなことでは声を出さないカンペイが冷蔵庫に向かって吠えた。
家内が冷蔵庫のドアを開けただけなのだが、ただしいつもとは逆に開いた。
このシャープ製冷蔵庫の最大(たぶん)のウリは扉が右開きにも左開きにもなるという点である。
しかしわが家ではスペース的な問題から、もっぱら右開きのみを使い、左側に開くことはあまりない。
この夜、珍しく家内が左側に開いたところ、カンペイが「ナニか違うじゃねーか」と吠えたのである。
その直前に、家内が何かを床に落とした音がきっかけだったにしても、これまで冷蔵庫のドアの変異に吠えた犬は絶無だった。
カンペイは常日ごろはステルスな存在で、インタフォンや電話の音にもまるで無反応だから、たしかに目のつけどころがシャープな気はする。

また、散歩していて気づくのは、コイツは水の音に極端に弱い。
池の上を渡る木道が近くの公園にあって、私はそこを犬と歩くのが大好きなのだが、カンペイは一度その木道上で、餌やりを期待して集まってくる鯉の水音に恐怖してフリーズして以来、二度と行こうとしないのだった。
こういう犬ははじめてである。

「瀬音」がする川には、私と一緒には近づきたがらない。リードを引くと、腰を後ろに落として抵抗する。
「勝手にしろよ」と放置して、私だけ川を覗いていると、いつの間にか少しだけ私から離れた位置で川を覗きこんでいる。

こうしたピントの少しズレた小心さも、柴のかわいいところだと思う。
けれども、自分の犬のそのかわいさについて容易には他の賛同は得られないだろうと思っているから、柴の飼い主はちょっと自虐的な口ぶりになったりするのである。

※セミの踊り食いという人生最大の娯楽を見つけたカンペイにはさぞや残念なことだろうが、長かった今年の夏も終わった。
この間、日記をずっとサボってしまって反省しきりである(←原子力安全・保安院が口にする程度の反省ではあるが)。


こうして高いところから覗くのは平気。瀬音がする水に近づくのが怖いだけよ
2012年09月22日(土) No.149