俺 流
[ Perro Dogs Home 預かり日記 ]
■カンペイの寸止め
ジャックの女の子を見やるカンペイ。はたして何を思う
ジャックの女の子が少しもへこたれないのは、カンペイの反撃に威力が足りないからでしょ。
相手はたかだか体重が3分の1程度の子犬じゃないの。
――そのようにお考えの向きもあるかもしれない。
いやいや。
十分ではないかもしれないが、しかしカンペイの突撃が迫力を欠いているわけでは決してない。
証拠をお見せしよう。
次の連続写真をご覧いただきたい。
(2枚目がブレブレなのは、私がカメラを構えたまま思わずのけぞったから)
バネで弾かれたように飛び出してきたカンペイは、ギャウギャウと吠えながら口を大きく開け、剥きだしの尖った犬歯は、いままさにジャックの子の顔の寸前にある(上)。
2枚目ではその口が閉じかかっているのに注目していただきたい。
カンペイはジャックの子の顔のほんの1センチほど手前の空間で上下の歯を合わせているのだ。
極意の寸止めである。
これ、怖いと思いません?
後ろにいた私が思わずカメラを持つ手を揺らしてしまうほどの大迫力なんだから。
これ以上のことをやろうと思えば、実際に歯を当てる以外なく、非暴力主義者のカンペイにそれはありえない。
それにここには、きわめて野蛮であるとはいえ「遊び」の要素が大きく含まれている。
要するに、ここで一歩も引かないジャックの子がタダモノではないという結論が繰り返されるのですよ。
見切られてしまったんだろうな、カンペイは。
2014年08月22日(金)
No.178
カンペイの逆襲
目の前で演じられたカンペイの逆襲劇。その衝撃的な一部始終をお届けする。←民放ニュースふう(中身が大したことないのも一緒)
オモチャを見せびらかし、ギャンギャンと吠えかかってカンペイを挑発
ぶっ切れたカンペイが逆襲に出る。カンペイの剣幕にジャックはひるみ
飛んで逃げる
しかしタダモノではないのは、目がいくらか弱りながらも、なんとかここで踏みとどまって対峙するところ
カンペイはこれだけのことでもかなりエネルギーを消耗するわけだが、ジャックの女の子は数分もするとすっかりリセットして元どおりになる。
妙なことにカンペイは、自分の突撃が効果テキメンだったことでなんだか気分がよくなるらしく、この逆ギレを何度かやっているうちに、それなりに楽しくなくもない気晴らし行為となり、だんだん遊びに近づいている。
ジャックの子にとってもこの追いつ追われつが発散になるらしく、コトが終わった後はむしろ楽しい気分が残るようである。(※)
不思議な関係と申しあげるべきだろう。
(※)追記……おそれていたとおり、その後たちまち、ジャックの子はこれを「ちょいスリル。すげー楽しい」と捉えるようになったらしく、以前にもましてしつこくカンペイを「遊べー!」と誘う。カンペイ、ドツボに入る。
2014年08月21日(木)
No.177
カンペイの受難
仲よく共存する2頭のように見え、事実そのとおりなのだが、
カンペイにとっては嵐にはさまれた束の間の凪(なぎ)のような時間。
前脚で十字をつくって「この子が消え去りますように」とひたすら祈っているに違いない……。
ジャックが乗っているのは昔ニトリの座イスと呼ばれたものだ
ジャックの女の子は人の目にはすさまじくかわいい。
たいがいのことなら許してやりたくなる(たいがいでない場合も多いのであるが)。
ただし、その魅力は柴男子のカンペイになんの効力も発揮しない。
子犬について、多くの成犬はシブシブ受け入れなければならない対象、ひたすらガマンの相手ぐらいにしか思っていないように見える。
すくなくともカンペイはそうだ。
ジャックの女の子がやってくると、一定の距離をおきながら、「なんなのコイツ大迷惑」という暗い表情で、ただただ無視をきめこもうとしていた。
カンペイにとって困ったことに、このジャックの女の子は、そんな軟弱な拒否の姿勢など完全スルーして突撃するのだ。
「遊べー、オマエはあたしと遊べー!」と。
すぐ目の前で甲高い声で吠え続ける。
それはお願いなどという生やさしいものではなく、ほとんど強要、強請というべきだろう。
全然遊んでくれないカンペイに対して「遊べー!」とギャンギャン吠えるジャックの子。
写真ではよくわからないが、じつはカンペイはタヌキ寝入りしている
それでも効果がないと見るや、カンペイの前脚を噛んだりする。
(カンペイは多くの柴の例に漏れず、脚にはものすごく神経質だ。とくに前脚。散歩後タオルでゴシゴシと拭かれるのは半泣きでガマンするが、気持ちよく寝ているところを私に前脚の肉球など撫でられたりすると、電流に当たったように脚を引っ込める。それをパクパク噛むのである、この子は)
これを受難と呼ばずしてなんと呼んだらいいか。
そうしてついに、カンペイの怒りが爆発する。
耐えに耐え、こらえにこらえ抜いた末の爆発、にしては迫力に乏しい気もするが、子犬相手にはこれでも十分である。
ギャウギャウといった柴特有の裏返った吠え声をあげてジャックの女の子へ突進する。
そのただならぬ剣幕に、ジャックの女の子は身を翻して隣りの部屋まで逃げる。
そう、逃げるのだ、気持ちのよいほど一目散に。弱気の目になって。
しかし次の瞬間には立ち直ってもうこの表情。
まったく天晴れな女子なのである。
この負けじ魂
2014年08月21日(木)
No.176
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