俺 流  [ Perro Dogs Home 預かり日記 ]

梅カン



厚紙を柴型に切り抜いた12枚の柴カレンダーから梅吉とカンペイに似た2枚をピックアップしてツーショット写真。
キリッとした日本男子ふう梅吉にアッカンベーのカンペイ。
梅吉の預かりさんが身もだえしてうらやましがるに違いない。あげないけど


このところ、どうにも気になってならないのが紅顔の柴男子・梅吉(募集番号364)だ。
気になってカンペイの日記がまるで書けないのだよ(テヘ)。
梅吉の預かり日記を読みながら、「ここんとこ似てるよな……」とため息がでっぱなしである。

もちろん違う点もたくさんある。
だいいち見かけが違う。
梅(失礼ながら以後このように呼び捨てにする)は愛嬌のあるタヌキ顔をしたメーカー純正の柴であって、柴以外のものに見違えようがない。
ところが近所を散歩中のカン(以後こう呼び捨てる)について、わらわらと集団で散歩中の保育園児たちのなかに「あ、オオカミだ!」「オオカミが来た!」と奇声をあげる頼もしいバカタレがこれまで幾人もあったのである。
決まって男子である。これから辛い人生を歩むことのないよう彼らのために祈りたい。

この前は初対面の柴の飼い主さんから「柴にしては脚が長いですね」といわれた。
「ちょっとシェパードが混ざってるんですかね?」ぐらいならまだしも、「ハスキーですか?」と真顔でいわれたこともある。

なるほどその外見には微妙に柴的でないものが混ざっているような気もする。
だが、だからといって柴以外の何かであるようにはとうてい見えないという、不思議な立ち位置にカンはいる。


本職のオオカミさん。まじ怖い。ち、ちょっとだけ似てるかも……(写真は「Wolf Pack」/First Avenue Editionsから)


梅カンに共通するものは相違点よりはるかに多い。
外見はともかく両者のメンタリティは驚くほど似ている。
その永遠の世慣れなさかげん、どこまでも沈着冷静にパニクる姿、打てば遅れて予想外のところで響く遅延信管ぶり……。
預かり日記を読んで「そうなんだよなあ」とヒザを叩くことがしばしばなのである。
カンの日記が更新されなくても、梅の日記を読んでもらえばそれでよいのではないかという気がする。

メンタリティで梅カンの最大の違いは社交性だと思う。
カンのそれはもうじつに柴離れしているといっていいのであって、それに比べると、梅は過去の経験と関係があるのかないのか柴的なシャイさ(←ここがまたかわいかったりする)が少し感じられるように思う。
(ただし梅が日々発展途上にあることを忘れてはならない)

カンは人を恐れるなどという発想すらそもそもなく、老若男女貧富貴賎を問わず誰にでも平気で近づいていってお愛想する。
「オヤツあったりします?」と。
先日ドッグランで初対面の10代の少年相手に踊りだしたのには私もぶったまげた。そのステップ、どこで習ったのか。


ダンス・ウィズ・カンペイ


そして昨日は、近くにできたスーパーの開店PRに練り歩いていたチンドン屋さんの若いお姉さんにやさしく声をかけられ、嬉しさのあまり商売道具の着物に飛びついたりして飼い主(当面私だが)に冷や汗をかかせたのである。
「いまの季節、毛が抜けるでしょう」
と、このお姉さんは柴のことをよくご存じだった。
しゃがんでカンをかまってくれた。

見た目は異形の集団(みんな気さくで楽しい人たちだった。クラリネット吹きの女性は上手でした)に対しても全然平気で接することのできるカンは、一方で、トラックやバス(のディーゼルエンジン音)は滑稽なほど怖がるのである。


チンドン屋さんの若いお姉さんにかまわれるカンペイ。ちょっとうらやましい感じがしないでもない
2014年05月15日(木) No.172