俺 流  [ Perro Dogs Home 預かり日記 ]

ひとり遊びカンペイ



ボール遊びをするカンペイ。草が青々と繁っているが、以下の写真はすべて今年5月に撮影したものです

カンペイはボール遊びをする子だ。しかも、ひとり遊びをする。
それがどうした、フツーじゃないの。という人は和犬・柴についてあまりご存じではないのだと思う。

私が接した柴で、ボール遊びをする子はめったにいなかった。
(ボールをただ噛んだり転がしたりするのは、ここではボール遊びとは見なさない)
「ほーら、キャッチしてごらん」と顔に向かってボールを投げてやると、たいていの柴は固く身じろぎもせず立ち尽くし、ボールは顔に当たってポトンと地面に落ちるのである。
高校時代の同級生に、ガッチリとしたみごとな体躯をもち、筋力も強いのに、剣道・柔道などの武道一直線で、球技になるとからきし不器用なヤツがいたが、そんな感じだ。

しかしカンペイはボール遊びをする。しかも、ひとりで。
くわえ、振り回し、放り投げては、取りに走って、またくわえる。
自立して遊べる、おもしろい子だ。
私が投げてやったボールも、気が向いたときには、非常に上手にキャッチする。
ボールに対してちゃんと口から行く。
私の経験では、ボール遊びをする柴でも、両前脚をバンザイするように開いて、信じられないくらい不器用に空中のボールを追うことが多かった。
ボールはむしろ柴の体に当たった。

わが家ではカンペイをエボ柴(エボリューション柴)と呼んでいる。
ただし、遠くに投げたボールを持ってかえってくる根性はカンペイにはあまりない。


くわえ


放り投げる


柴のカンペイはラブ(ラブラドール・レトリーバー)とは遠い生きものかもしれないが、何かを噛んだり、口でくわえたりすることに対する偏愛という点では共通したものを感じる。
散歩に行く気配を感じとると、ひとりで気持ちが盛りあがり、そのへんにある雑巾や靴下、クッションなどをくわえて、振り回して遊び、喜びを表現している。
それはほほえましいのだが、遊びに熱中して、散歩に行くという当初の目的をすっかり忘れてしまうことが少なくないのはどうしたことだろう。
散歩の支度を終えて玄関口にいる私は声を嗄らしてカンペイを呼ぶのである。

噛んだり、くわえたりすることに対するカンペイの偏愛は、わが家と私にちょっとした面倒をもたらしてくれる。


ボール遊びをする合間の、この晴れ晴れとした顔どうよ
2012年12月05日(水) No.153