俺 流  [ Perro Dogs Home 預かり日記 ]

急速体得



オレはやるぞ!

外泊した後の1、2か月に起こったことは、貧しい私の言語能力でも簡単にいいあらわせる。
カンペイはこの家で暮らすコツを体得したのだと。

まず排泄の話から。
前々回の日記で私は、排泄の不安があったから外泊に連れ出せずにいたと書いた。
わが家で排泄に失敗していたわけではない。失敗はほぼ皆無だった。
しかしそれは、散歩に出る時刻、散歩時間など、日常生活を厳格に定時運行してきた結果だと思っていた。
朝の散歩は午前6時(夏)〜7時台(冬)に家を出た。遅くとも8時までに家を出る。夜は午後10時〜11時ごろに家を出る。
可能なら夕方に1度、庭で遊ばせる。
外泊によってこうした安定的環境が変わり、リズムが変われば、容易に失敗するおそれがあると考えたのだ。



というのも今回の外泊より前のことだが、カンペイの排泄が鉄板に思えたので、多少ルールをゆるめても問題なかろうと、午前中の散歩時間を遅らせたり、ついには調子にのって1回スキップするようなことをした。
すると、たちまち排泄のタイミングを失って、廊下に大小を残してくださったのである(ただし、以前にシートを置いてあった場所で)。
ふたたび定時運行に戻したのはいうまでもない。

ところが外泊中に失敗はなかった。それどころか、外泊後のカンペイは驚くほど急速の進歩を見せたのである。
散歩に出るタイミングは朝でなくとも午前中でさえあればまったく問題なく、しかも、夜の散歩を省略しても、あるいは午前中の散歩が午後にズレこんでも、カンペイは平然と対応した。
いつの間にこれほど融通がきく男になっていたのか、と私は自らの不明に愕然とした。


午前中のこんな時間に散歩に出てもOKとなった。冬場はものすごく助かる。

排泄を催した場合、カンペイは私たちに「オレは庭に出たいんだよぉ」と知らせるようになった。
ギャンと短い声をあげるか、外に出るドアをガリガリとかいてみせた。
外に出すとしばらくして排泄し、その後はぷらぷら気ままに遊んだ。

庭に出しても「は?」という感じでいっこうに排泄しなかったカンペイが、「オレ流」をやめ、こうやって私たちと意思疎通しながらこの家に適した排泄行動(=私の望むやり方※)をとるようになったのだ。

<シッコたまった→オレが人に合図する→人がオレを庭に出す→オレがシッコする>という一連の人とのコラボを完全に身につけたのだった。
自信めいたものが、カンペイに芽生えたようにも感じられた。

(※)排泄は室内でもできるほうがいいに決まっているが、カンペイの脚上げ型放出の精度ではペットシーツ周辺の犠牲に耐えがたいものがあった。排泄のリズムを確定させるためにも、外での排泄に一本化することにした経緯がある。

2014年01月28日(火) No.166