俺 流  [ Perro Dogs Home 預かり日記 ]

似て非ならざるもの




プリンという名前がついている申込番号116のラブMIX♀が1泊していった。
まだ7か月足らずの子どもだ。
母親が黒ラブ(おそらく)、父親が和犬系MIXという両親から6頭の子が産まれ、それぞれがラブと和犬の血をもっているわけだが、特徴にあらわれた配合比はどの子も異なるように見えた。それについては機会があれば触れようと思う。

プリンは6頭のなかでは外見的にラブ色の強いほうではない。
角度によっては、いったいどこにラブの血が入ってるのかと見えるときもある。
それでも一度、預かり宅の先住犬・黄ラブとプリンが一緒にいるのを見て、私はラブ親子と見間違えたことがある。ぶら下がっている迷子札で、はじめてプリンだと気づいた。
「なんだプリンだったのか。なんでここにいるの?」

性格的には、MIX特有の柔らかさがうまい具合にブレンドされて、ラブの子犬・若犬よりはるかに扱いやすい子になったようだ。
ラブ的なバカも薄く、同時にラブ的な闊達(かったつ)もやや薄い。
ただ根の陽性は健在で、骨折のため長い期間にわたってガマンを強いられたにもかかわらず、それが性格に影を落としているようなことはない。

テツは「わが家」にプリンを迎えて激しく興奮した。
何を思ったか、プレイボウの姿勢(頭を下げて腰を高くする)から垂直ジャンプをおこない、その後に激しく吠え、プリンをビビらせる。
私から見ても、テツの行動は完全に意味不明である。仲よくしたいのか、自分の力を誇示したいのか、遊びたいのか、追い出したいのか、いったい何をしたいのか、例によって常軌を逸してすべて謎である。

しかし2、3時間もかからないうちに、どこでどうしてそうなったのかは知らぬが、この2頭は互いの距離を縮めていた。
気がつけば、何をするにも一緒状態である。
テツが伏せれば、プリンはテツに身体を接して伏せ、テツが寝れば、プリンも身体を接して寝る。
そういうときに2頭のとる姿勢。それがまるで相似形なのに私は笑った。
やっぱりラブの血は争えない。


テツとプリンの第1形態——対向型


テツとプリンの第2形態——直列型
2009年08月06日(木) No.32