俺 流  [ Perro Dogs Home 預かり日記 ]

■カンペイの寸止め



ジャックの女の子を見やるカンペイ。はたして何を思う

ジャックの女の子が少しもへこたれないのは、カンペイの反撃に威力が足りないからでしょ。
相手はたかだか体重が3分の1程度の子犬じゃないの。
――そのようにお考えの向きもあるかもしれない。

いやいや。
十分ではないかもしれないが、しかしカンペイの突撃が迫力を欠いているわけでは決してない。
証拠をお見せしよう。
次の連続写真をご覧いただきたい。
(2枚目がブレブレなのは、私がカメラを構えたまま思わずのけぞったから)



バネで弾かれたように飛び出してきたカンペイは、ギャウギャウと吠えながら口を大きく開け、剥きだしの尖った犬歯は、いままさにジャックの子の顔の寸前にある(上)。
2枚目ではその口が閉じかかっているのに注目していただきたい。
カンペイはジャックの子の顔のほんの1センチほど手前の空間で上下の歯を合わせているのだ。
極意の寸止めである。

これ、怖いと思いません?
後ろにいた私が思わずカメラを持つ手を揺らしてしまうほどの大迫力なんだから。

これ以上のことをやろうと思えば、実際に歯を当てる以外なく、非暴力主義者のカンペイにそれはありえない。
それにここには、きわめて野蛮であるとはいえ「遊び」の要素が大きく含まれている。

要するに、ここで一歩も引かないジャックの子がタダモノではないという結論が繰り返されるのですよ。
見切られてしまったんだろうな、カンペイは。
2014年08月22日(金) No.178

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