俺 流  [ Perro Dogs Home 預かり日記 ]

交友録---うえ(3)





うえとボニーは一緒にしておくとエンドレスで遊びつづける。

少し前のことだが、広々とした全面芝生張り、かつ周囲を完璧に囲われた愛犬家垂涎のお庭があるお宅に、うえ&ボニー、その他「名犬」が参集したことがあった。
このお宅はまた、リビングダイニングが庭に面していて、そこから庭に直接出入りできるうえ、庭で犬どもが遊んでいる様子をゆっくりお茶しながら眺められるという夢のような構造になっている。
はじめに参加全頭(6、7頭だったか)を庭で好き放題に遊ばせ、体力気力を存分に発散させてから室内にあげるという成りゆきだったが、うえ&ボニーのラブ系2頭組だけは、居残りを命じられて庭で遊びつづけている。





この日は「ランチ」という名目だった。
しかし2時間たっても、3時間がたとうと、アルコール補給ゼロなのに話題がこんこんと尽きないという、半減期の長い放射性物質のような不思議な会だった。
さらに驚いたことには、ランチがすでに4時間以上経過しているのに、庭に放ったらかされたうえ&ボニー組はまったく遊びに没入して飽きるということがない。
取っ組み合って、互いに激しくむしゃぶりつき、息を荒げて追いかけ合う。疲れて動きが止まると、「やっと終わったみたい」と誰かが言うそばから2頭はふたたび取っ組み合っている……そのサイクルが果てしなく繰り返されるわけだ。

ランチに集まっていたのは愛犬家として少しフツーではない領域にまで足を踏み入れている面々であったが、その人たちさえ「どういう犬たちなのよ」「ラブってこれだから……」と笑い、呆れていた。





これほど遊びつづけられる背景には、どちらもラブ(系)であり、ほぼ同年齢・同サイズであるという条件が揃っていることがあげられるだろう。
しかしおもしろいことに、この気の合う2頭の性格はまったく違うのである。

ボニーは裏も表もなく、縦から切っても、斜めから切ってもボニーが出てくる。どこを切っても純一のボニーなのである。
一方、うえの場合は、そう単純な話にはならない。



↑熱い接吻ではなく、ボールの奪い合い
2012年06月05日(火) No.128

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