俺 流
[ Perro Dogs Home 預かり日記 ]
ぼんた
▲聡明そうな目ほどには聡明ではない
家に帰るとただちに、カーポートで水浴した。
「ジャンボたらい」(商品名です)に入れ、シャンプーで洗い、ラバーブラシをかけた。
盛大に毛が抜け落ちた。臭いは毛ほどめざましくは落ちなかった。
大型犬を水浴させると、自分自身も全身水浴したのと同じ効果があるのはご存じかと思う。
1時間の水浴後、びしょ濡れのラブとびしょ濡れの私で風呂場に入り、ふたたび1時間近い時間をかけて、のんびりと洗いなおした。湯をかけ、シャンプーし、ブラッシングして、また湯をかける。
ラブは当たり前のように風呂場までついてきて、当たり前のようにじっと立って、されるがままに身を任せていた。ときどき私の顔をなめた。
洗うあいだ、私は犬の名を呼びながら、話しかけるようにしている。
ややオーバーにいえば、そのようにして、犬の性格をおしはかり、最初のコミュニケーションを試すのである。
事前にPerroの関係者数人には「たいへんなヤツがくるんだよ」と吹聴していたが、家内には「女の子の小っちゃなラブがくるよ」と控えめに話していた。
「じゃ、ぼたんちゃんって名前にしよう」と家内はいった。
「ぼたん」って柄じゃねーよなと思ったが、「おお、それはいいね」と答えておいた。
風呂場で洗いながら、私は「ぼたんは、いい子だね〜」とか「気持ちいいだろ〜、ぼたん」などと声をかけていた。
しかし、いつの間にか「ぼんた」と呼んでいる自分に愕然とした。東京凡太(古い)のぼんたである。
すっかり無理が利かない脳ミソになっているらしい、無意識のうちに「ぼたん」が「ぼんた」に脳内変換されてしまうのだ。
「ぼんた」は私にとって収まりのいい名前なのだが、しかしこの若い女子を「ぼんた」と呼ぶのはいかにもマズイ。
そこで「ボニー」または「ボニ」と改名した。「ボネ」まで(自分に対する)許容範囲であるが、ときどき「ボン」と呼んでしまうこともある。
幸い、どれも英仏語あたりでは、よい意味があるらしい。
家に上げて確信した。ボニーは素晴らしくいい子だ。
ただし、私の「いい子」の定義は、多くの人とは少し違う可能性がある。
▲大型ケージにおとなしく入ってやってきたボニー
2011年07月21日(木)
No.116
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