俺 流  [ Perro Dogs Home 預かり日記 ]

テツ再降臨



▲「ユーリ小次郎敗れたり!」 俺流島の決闘・テツ武蔵対ユーリ小次郎

昨年いちばん嬉しかったのは、ブリ(現・KAI)の飼い主さんから素晴らしい組写真をいただいたことだった。
これについては、後日、詳しくご報告したい。

今年はまだ先が長いので、誰かが大金をくれたり、素敵な女性から求愛されたり(私は既婚者だから涙をのんでお断りする)、どんなよいことがあるかわからないが、いまのところ先代の預かり犬・テツの来訪が最有力候補にあげられるだろう。
寂しい人生である。

1月末にテツと飼い主のWさんご夫妻がわが家を訪れた。
テツをお届けして以来、はじめての再会である。
Wさんは東京にご自宅があるが、東北に新しく素敵なすみかを見つけ、1年のほとんど全部をそこで暮らしている。いわば東京がセカンドハウスなのである。
奥方はときどき帰京し、ウワサによればそのまま海外へお出かけになったりもしているらしいが、ご主人とテツは山深い東北を離れず、切れ目なく密着して暮らしている。
それが今般、帰京して、しかもわが家を訪ねてくださったのだ。
これを喜ばずにおられようか。

再会したテツの頭は私の記憶よりさらに5割増しぐらい大きかった。
ユーリの細身の頭を見慣れてしまったせいか、「カボチャに胴体がくっついているのか!」ぐらいの印象である。
しかし、そのカボチャ頭をくり抜いたように開いている大きな2つの目は、いちだんと表情豊かで、しかも、やさしく穏やかになっていた。
感無量である。



驚いたのは、ユーリの反応だった。
テツの出現、そして私や家内とテツそれぞれの真率な愛情表現に、ユーリはなみなみならぬ危機感を抱いたらしい。
異様な熱心さでテツに向かってガンガン吠えると、しまいにはマウントしだした。マウントをしかけるユーリなど、見たことがなかった。
テツは、久しぶりの大都会(練馬ですが)に少し緊張していたらしい。最初のうちユーリのなすがままになっていたが、やがて調子を取りもどすと、反撃に転じ、逆にユーリにマウント返しをしかけた。
一瞬で決着がつき、ユーリはあっさりとテツの軍門にくだったのである。



ユーリがこういう具合に反応するのをはじめて見た。
テツと私たちの間に、何か違うものを感じたのだろうか。
私はしかし、こういうユーリの反応も成長の証として少し嬉しかった。

もうひとつ驚いたのは、テツが予想外に小さかったことだ。頭を除いて。
テツがしぼんだわけではない、ユーリが私たちが思っている以上に大きな犬になっていたのだ。
毎日の変化がわずかなのでなかなか気づきにくいのだが、ユーリはすでにとても大きいのである。
記憶のなかのテツはユーリよりずっと巨大なのだが、実際の2頭はすでに互角に近いサイズといっていい。
体重30kgのテツと並ぶと、頭の大きさはもちろん、胴回りのがっちりした肉の付き具合ではテツと比べようもないが、体長ではすでにユーリのほうが上回っているかもしれない。
これからまだ10kg近い伸びしろがユーリにはある。
ユーリ恐るべし。


▲ほとんど身体のサイズはテツと遜色がなくなっていた
2011年02月02日(水) No.102

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