俺 流  [ Perro Dogs Home 預かり日記 ]

去勢



▲内容にはまったく関係ないけど、珍しく桜花とテツの写真など

多くの子犬たち(幼犬)と接して当たり前のように知るのは、♂の子が脚を上げて排泄しないという事実だ。
彼らは成犬になる道筋のどこかで、脚を上げるようになる。
脚を上げる時期も、早い子もあれば遅い子もある。数は少ないにせよ、成犬になっても上げないままの子もいる。
マーキングもまったく同様。

つい最近、Perroで保護した8か月に満たないチワワの男の子は、預かりボランティアさんのお宅に到着早々、脚を高く上げてチッコラチッコラと室内各所のマーキングに精をだしていた。
「ボク、無垢のカタマリ、悪いコトなにひとつ知りませーん」というような顔をして、である。(幸いその後、室内マーキングは収束に向かったとのことです)


▲キミのことです

脚を上げるのを覚える前に去勢手術をおこなった子は、かなりの確率で、その後脚を上げないまま一生を送る。
逆に、いったん脚を上げて排泄することを覚えた子は、その後に去勢しても、脚を上げて排泄する習慣を変えないように見える。

これについてピッタリな説明を、以前にもご紹介した『動物感覚』(テンプル・グランディン、キャサリン・ジョンソン/中尾ゆかり訳・NHK出版)*という書物に見つけた。
著者は、自らの子ども時代の飼い猫が、遅い時期に去勢をしたため「においつけ行為」(マーキング)による「被害」が去勢後も続いた例をあげて、こう書いている。
去勢すれば望まない繁殖を簡単にふせげるが、かならずしも繁殖にともなう行為をすべてふせげるわけではない。とりわけ、性行動がはじまってしまったあとの、比較的遅い時期に去勢した場合はふせぎきれない。

テツの去勢手術がおこなわれたのは、Perroがテツを保護した後、つまり、少なくとも2歳を超えてからである。とっくに性に目覚める年を過ぎて、マーキング行為を確立した後というわけだ。
飼い主が十分早い時期に去勢手術をおこなっていたなら、テツはいまごろ脚を上げずにシッコしていただろうし、マーキングをしなかった可能性がある。


▲ボ、ボクのこと?

この本はたいへん面白い読み物であり、ところどころ目からウロコの記述もある。が、本に書かれている全部を頭から鵜呑みにしないほうがいいと思う。論じる手つきに科学的実証性が欠けているのではないかと、私ですら感じる記述が一部にある。信用性にバラツキがあるとでもいおうか。引用しておいて、なんですが……。
2010年04月12日(月) No.70

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