俺 流  [ Perro Dogs Home 預かり日記 ]

テツがいっぱい


またしても横道に話が逸れてしまうが、ブリードレスキューまたは単犬種レスキューと呼ばれる団体の存在をご存じだろうか。
もっぱら特定の純血種の救援をおこなう。
ラブにとって幸いなことに、そうしたラブ専門のレスキュー団体がある。

その
団体のホームページには、飼い主を募集するラブたちの写真が掲載されている。
掲載されているラブの来歴は多様だ。
各地のセンターで収容されていたラブ、飼い主の飼育困難、迷子の保護……。
テツと見間違える顔も少なくない。
テツがいっぱいで、それだけで心がざわめいてしまう。

テツの同類がこれだけの数、新しい飼い主を探しているという事実があり、同時に、これだけの数のラブを一時的な飼い主として預かってくれる心ある人が存在しているという事実もある。
暗さと明るさ、絶望と希望が、ないまぜに押し寄せてくる。



世の万物それぞれにケチをつける人間がそれぞれ存在するように、単犬種レスキューに対する偏見も存在する。
ベテランと呼ばれる域にあるボランティアさんのなかにさえ、そうした偏見が少なくないのは残念なことだと思う。

ラブのブリードレスキュー団体についていえば、ラブに対する情熱と強い責任感を共有するメンバーの手によって、センターに収容されたラブを能力の及ぶかぎり――能力を超えても――救けようとしている。
ラブは決して見捨てないという決意で。
高齢であっても、多少の問題行動が見受けられるようであっても、健康状態が万全でなくとも、だ。
そして周囲からもまたそれを期待される。

これだけパワーのある大型犬でそれをおこなうのがいかに困難か、私のようなものにも想像できなくはない。
実際、経済的逼迫によって、最近の一時期、この団体の活動が停滞したこともあったようだ。

むしろ私たちのように、自分たちのときどきの余力を見ながら犬種横断的に犬を引きだしていくほうが、はるかに楽な場合が少なくないだろう。
いやもちろん、別種の苦労はあるにせよ。

ラブの飼い主さんになりたいと思うのであれば、ぜひ、ブリードレスキューからの譲渡も選択肢に入れていただきたいと思う。飼い主を探しているラブはテツ以外にもたくさんいる。
2009年08月02日(日) No.31

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