俺 流  [ Perro Dogs Home 預かり日記 ]

ブリタニーに何を求めるか


なぜ飼い主はセンターに迎えにこなかったのだろうか。

前の飼い主によってこの子に刻印されたハンドシャイを見て、私には何があったのか想像ができる気がする。
飼い主は、思うようにならないこの子に、手を上げていたのだ。

その人はいったい、ブリタニーに何を求めたのだろうか。
自分が求めるものと実際のブリタニーの振る舞いの差は、腕力――犬に与える苦痛の量――によって、修正できるとでも考えたのだろうか。



ブリタニーはブリタニーである。
それを理解せず、理解する努力すら怠って、「あ、かわいい」「頭よさそう」と自分たちの誤った印象に頼って家に連れ帰れば、飼い主とブリタニーの双方にとって不幸なことにしかならない。
ブリタニーらしいブリタニーほど、清潔と安穏と快適を至上命題に暮らす都会の多くの人にとっては、飼いにくい犬となりうると私は思う。

しかし、ともに雨に打たれ、泥にまみれ、汗だくになり、日に焼かれ、風に吹かれ、歩き、走り、遊び、喜び、互いに慈しみあう――そういう生活を自分の命のように愛することのできる人間にとって、ブリタニーは最良の伴侶となるに違いない。
そのことは、日記の最初に申しあげておきたい。
2008年09月01日(月) No.2

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